2018秋のゲームマーケットに出展予定の工藤さんです。
企画、制作、販売方法検討まですべてひとりでやりました。
周りにボードゲームを作ってる人がいなかったんですよね。
制作にあたってネット上で調べたこと、販売にあたってゲームマーケット現地にいって考えたことを全部書きます。
これからボードゲームを自作して販売したいって方の参考になれば幸いです。
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自作ゲームを企画する
まずはどんなゲームを作るか考えます。
作り方は大きく3通りあります。
- テーマから作る
- システムから作る
- コンポーネントから作る
それぞれ見ていきましょう。
テーマから作る
「テーマから作る」には以下が該当します。
- 自分の好きな作品の雰囲気から作る
- 自分が面白かった体験から作る
- 「ゲーム化してない有名なもの」から作る
自分の好きな作品の雰囲気から作る
好きな小説や映画などを参考につくる場合、テーマから作ることになります。
そのテーマの中で「どこがゲームにできそうか?」を考えて着手するわけですね。
たとえば「マフィア映画が好き」ならマフィアがよくやりそうなことで、ゲームにできそうな要素を抜き出します。
「密輸」や「ナワバリ争い」はゲーム化できそうですね。
自分が面白かった体験から作る
自分がいままで生きてきて面白かったできごとや辛かったできごとをゲーム化してしまいましょう。
たとえば受験勉強や就職活動、鬼ごっこやお絵かき、パチンコや競馬、なんでもゲームにできます。
ソシャゲのガチャをゲーム化した作品だってあります。
参考:ソシャゲ運営になろう!
「ゲーム化してない有名なもの」から作る
多くの人が知っているけど「それをゲームにするとは思わなかった」というものをゲーム化する手法です。
「カレー作り」を題材にした「ギリギリカレー」が有名ですかね。
ゲームが面白いかどうかにかかわらずテーマのチョイス次第で「ネタとして買われる」ため販売しやすいです。
(ギリギリカレーはネタだけじゃなくてゲームとして面白いです)
システムから作る
ゲームの主旨や、ゲームの仕組み(メカニクス)、プレイ感をどうしたいか考えて作る方法です。
自分の好きなゲームを分析して、好きな要素をつめこみましょう。
対人ゲームが好きなのか、協力ゲームが好きなのか。
5分で終わるゲームが好きなのか、2時間以上かかるゲームが好きなのか。
コミュニケーションゲームが好きなのか、ロジックゲームが好きなのか。
「タイル配置」が好きなのか、「カードを引く」のが好きなのか。
ストーリーや設定が大事なのか、面白ければなんでもいいのか。
切り口はイロイロあります。
自分の好きなゲームを片っ端から洗い出して、共通点を探すとなにかわかるかもしれません。
自分の好みがよくわからないって方は、わたしが自分を分析した時の記事も置いておきますので参考にどうぞ。
参考:ランキングを参考に好きなボードゲームの要素を分析してみた
ボードゲームのメカニクスについては、JELLY JELLY CAFE の記事がよくまとまっていました。
参考:ボードゲームメカニクス集
コンポーネントから作る
ゲームで使用するコンポーネント(内容物)からゲーム制作を始める方法です。
最高に面白いゲームでも「オリジナルカードを100,000枚使う」は商品化しづらいです。
商品化するにあたって、コンポーネントはなるべく減らすようにしましょう。
参考にしたいゲームは16枚のカードだけで構成されているラブレターです。
- カード18枚 + 化粧箱
- カード36枚 + 化粧箱
- カード36枚 + ボード + チップ80枚
上記からはじめると、萬印堂さんで「小ロット応援オンデマンド印刷パック」が使えるのでオススメです。
「小ロット応援オンデマンド印刷パック」の内容は以下の通りです。
内容 | セット数 | 価格 |
---|---|---|
カード18枚 + 化粧箱 | 50セット | 20,000円 |
カード36枚 + 化粧箱 | 50セット | 30,000円 |
カード36枚 + ボード + チップ80枚 | 50セット | 50,000円 |
わからないことがあったら、予約して萬印堂さんへ訪問することもできます。
自作ゲームを制作する
ゲームの企画ができたら、制作に移ります。
- 紙でテストプレイ
- なるべく多くのひとに遊んでもらう
- 販売できる形にする
紙でテストプレイ
ゲームを思いついたら、紙に書いてテストプレイしましょう。
7〜8割いけそうになった段階で一人テストプレイすることをおすすめします。
紙に書き出してカードやボードを作り、テストしましょう。
コマは小銭などで代用します。
「頭で考えているときは楽しそうだったけど、やってみたら楽しくない」はよくあります。
気付くために、なるべく早めにテストプレイを行います。
なるべく多くのひとに遊んでもらう
仲のいい人とテストを繰り返し、9割できたらデータを作ります。
イラストや文章をデータ化し、カラー印刷しましょう。
カラー印刷したカードはカードスリーブに入れたら立派なカードになります。
ここまで制作を進めたら、いろいろな人にテストプレイをしてもらいます。
ボードゲームを自作している人、ボードゲームをやるだけの人の区別なく「なるべく多く」の人にテストプレイしてもらうのがおすすめです。
「ボードゲームを自作する人」からはコンポーネントや内容物の仕入先、ゲームシステムのアドバイスなど濃いフィードバックがもらえます。
「ボードゲームをやる人」からはゲームが面白いかどうかの感想やプレイ感などのフィードバックがもらえます。
なるべく多くの人に触ってもらうことで「テキストそう読み違えるのか!」「そのコンボの発想はなかった!」など気づきが得られます。
できるだけ多くの人にプレイしてもらいましょう。
参考までに、わたしは以下のような場所でテストプレイしてもらいました。
- 友人と自宅で
- ボドゲ会で
- 元会社の同僚と仕事帰りに貸会議室で
「ボードゲームのテストプレイに付き合ってくれそうな人」には片っ端から声をかけました。
販売前にのべ人数で20〜30人くらいテストに付き合ってもらってます。
ほぼ毎回「手直しする点」が見つかるので、なるべく多くの人に付き合ってもらいましょう。
販売できる形にする
自作ボードゲームは「ゲームシステムを作って終わり」ではありません。
売るために商品を作成する必要があります。
- カード・ボードのデータ準備
- 箱の準備
- 説明書の準備
忘れがちなのはボードゲームをいれる化粧箱と説明書の準備ですね。
化粧箱も、袋詰めで売るか、トランプのようなキャラメル箱にするか、内箱と外箱にわかれた箱にするかなど決めるべきことはいろいろあります。
価格にもよりますが、2000円以上の作品を売るなら以下はキチンと考えたほうがいいでしょう。
- 表面:手に取りたいデザインになっているか?
- 裏面:ゲーム内容がわかるようになっているか?
- 横面:対象年齢、プレイ人数、プレイ時間
表面:手に取りたいデザインになっているか?
ゲームマーケットに行って気づきました。
箱の表面が「ふつう」だと手に取る気になりません。
なにか「目につくもの」がないと「詳しく見よう」にならないんですよね。
表面はキッカケ作りになるため、イチバン大事です。
魅力的な一枚絵が用意できると最強。
ハコオンナのパッケージとか「怖っ!なに!?」となるので最強ですね。
一枚絵が用意できないなら、内容物のイラストを集めてゴチャゴチャ感を出すか、文字だけなどのシンプル路線にしましょう。
「文字だけ」なら目を引くタイトルだと手にとってもらえる可能性があがります。
ちなみに「英語タイトル」の場合、多少ダサくなってもカタカナで読み方は書くようにしましょう。
上記の思考パターンはありえます。
裏面:ゲーム内容がわかるようになっているか?
表面でゲームが気になった場合、だいたい裏面の説明をみんな読み始めます。
そこで説明がないと「よくわからん」で箱が戻されてしまいます。
表面を見て「気になる」になったお客さんを「面白そう(買ってみたい)」にするため、裏面は作り込みましょう。
ゲーム内容が一発でわかるように、一目見て「こんなゲーム」がわかる工夫がほしいです。
具体的には多めのイラスト、プレイ画面、「○○なゲーム!」の文字があればいいです。
「カタンの開拓者」を例にすると「資源で未来を開拓するロマン」の文字と、プレイ盤やカードが載っていてイメージがしやすくなってますね。
横面:対象年齢、プレイ人数、プレイ時間
自作のゲームに必要あるの?と思いますが、書きましょう。
「買ったゲームをどんなときにプレイするか」までユーザは考えてから買います。
グループ旅行や宅飲みで使おう、実家に帰ったときに甥っ子とやろう、ボドゲ会に持って行こう、いろいろ考えます。
どの場面で使えそうかを判断するため「対象年齢」「プレイ人数」「プレイ時間」はわかるようにしましょう。
商用利用可のアイコンサイトでアイコンをDLすれば簡単につくれます。
参考:ICOOON MONO
説明書
説明書づくりは忘れがちですが、重要な作業です。
自分自身は「ルールがわかっている」ため「はじめて読んだ人がどう理解するか」がなかなか判断できません。
テストプレイするときも、意識しないと自分でルールを説明してしまうため説明書の重要性に気づきにくいです。
販売したあとは「説明書だけでルールを説明しないといけない」ことを肝に銘じて書きましょう。
製作者であるあなたは、ゲーム販売後のプレイ時にはいません。
説明書が間違っていたり、意味がわかりづらいとプレイヤーが詰むんです。
ルールが固まってきたら、なるべく早めに形にしてしまってテストプレイのたびに読んでもらうくらいでいいと思います。
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自作ゲームを販売する
ゲームマーケットで売り出す前提で話を進めます。
- 事前に宣伝する
- 魅力的なレイアウトを考える
- 試遊スペースを確保する
事前に宣伝する
ゲームマーケット当日の前に、事前に情報を出しましょう。
ボードゲームガチ勢は、ゲームマーケット出展作品を事前に調べて、リスト化します。
ガチ勢のアンテナに引っかかるため、最低限ゲームマーケットの公式サイトで情報を載せるようにしましょう。
他に可能であれば個人ブログ、Twitter、Facebookなど、いろいろな場所で宣伝したほうがいいです。
露出が増えるほど、ガチ勢のアンテナに引っかかる可能性が高まります。
情報の内容は「どんなゲームか」と「ルール」がおすすめです。
「どんなゲームか」で興味を持ってもらって「ルール」を読んでもらえば、ゲームマーケット当日の説明の手間が省けます。
魅力的なレイアウトを考える
出展スペースの長机にはテーブルクロスをかけましょう。
それだけで見栄えがよくなります。
また、売っている商品の値段は一目でわかるようにしましょう。
ガヤガヤしているゲームマーケットで口頭での値段説明は相手もコチラも辛いです。
POPスタンドがあると便利ですね。
余裕があれば箱の積み方を立体的にしたり工夫しましょう。
試遊スペースを確保する
買う前に、まずは遊んでみてから判断したいという声は多いです。
出展場所では試遊スペースを抑えましょう。
ひとりではなく、仲間と臨む
一人ではなく仲間と参加することも大事です。
お客さんへの並列対応のほか、試遊スペースの説明も任せられます。
トイレも仲間がいないといけません。
まとめ:ゲーム作りは大変だけど楽しい
ゲームの制作から、販売するまでのお話でした。
個人でのボードゲーム制作はすべて一人でやることになるため、大変である分、経験値が一気にたまります。
アイデア出しの方法、商品販売の方法など本業に活かせるスキルもあがりますね。
副業がもてはやされる時代、趣味をかねてボードゲーム制作にとりくんでみてはいかがでしょうか。
販売に関しては、ドリル本が役に立ちました。
モノを売るための考え方、マーケットに興味がある方はぜひどうぞ。
電子書籍(kindle)で読みたい方はマンガ版をどうぞ。