アナログゲームを制作しています。工藤さんです。
販売を目指してTCG(トレーディングカードゲーム)風ゲームを制作していましたが、制作を凍結しました。
凍結した理由とか経緯を自分用のメモも兼ねて残しておきます。
なお、素人が手を動かしてみたり「たぶんこうじゃないかな?」と考えたメモになります。
一個人の意見であり、カードゲーム界の実情を反映するものではありません。
「こういう意見もあるよ」レベルで読んでいただければと幸いです。
参考に筆者のカードゲーマーレベルは、以下です。
ウルザブロック前後で大会に何回かでた。そのあたりで引退
ハースストーン
2〜3年前にほぼ無課金でレジェンドなったので満足して引退
【ハースストーン】レジェンド達成!ラグナロス入りミッドレンジハンター!
最近はぷち復活して闘技場をたまにやってる
遊戯王
ゲームボーイカラー、DSあたりでやった
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目次
TCG(トレーディングカードゲーム)ってなに?
マジック・ザ・ギャザリングや遊戯王のことです。
一般的にブースターと呼ばれるランダムにカードが封入された商品を買い、自分のデッキを構築して戦います。
ブースター購入で自分のほしいカードが手に入らないとき、他の人とトレード(交換)して入手することを前提にしているため「トレーディング」カードゲームといいます。
カード交換を前提とせず、封入されたカードが固定になっているゲームはLCG(リビングカードゲーム)といいます。
厳密にはわたしが制作していたゲームはLCGですが、世間的にはTCGほど定着した呼称でもないためTCG風と表現しています。
TCG風ゲーム制作をやめた経緯
販売が難しいためです。
『ともかく自分でカードゲームを作りたい』ならいいと思いますが『自分のカードゲームをみんなで遊んでほしい』は難易度が跳ね上がります。
わたしは『せっかく作るならみんなに遊んでほしい』タイプです。
『みんなに遊んでほしい』を満たすためにはTCG風でない方が難易度が低く、TCG風に強いこだわりがあるわけでもないので制作を凍結しました。
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TCG風ゲームの販売が難しい理由
販売が難しいなー、と思った理由をつらつら書きます。
非TCGユーザーの心理的ハードルは高い
ボードゲームカフェでお客さんをまじえてテスト会を開いたところ、反応が微妙でした。
プロジェクトの凍結にあたり、もっともインパクトが大きかったのはこの「心理的ハードルの高さ」です。
多くのお客さんはTCGぽいというだけで「難しそうだからパス」になりました。
興味をもってくれたのは5人に2人程度。すべてTCG経験者でした。
新作でTCG風のゲームを作っており、このままTCG風ゲームを作り続けていいもんか方向性を悩み中
テストプレイ会で一般のお客さんに触ってもらった感じ、手にとるハードルが高い印象だった。5人に2人くらい?
遊戯王とかシャドバとか、アナログorデジタルでTCGやったことある人以外から敬遠されたなー
— 工藤さん @ ゲムマ秋おつかれさまでした (@kudousansan) 2019年1月1日
参考までに、そのときのカフェのお客さんは全員男性で20〜30名程度でした。
サンプル数としては少ないですが、ひとつの参考にはなるかと。
TCGは遊ぶ場所が限られている
TCGを遊ぶ場所はパッと考えると以下の通りです。
- 友人とやる
- カードゲームショップなどで交流する
- 大会に出る
ボードゲーム会でTCGを持ち込んで他人に勧める人はいないので、ボードゲームと同じ普及・拡散は見込めません。
「友人とやる」は相手も同じゲームをやってるカードゲーマーになります。
前段として「友人をそのTCGに誘う」が必要になりますね。
販売数を増やして友人を誘える状況にする必要があります。
「カードゲームショップなどで交流会」も販売数を増やしてユーザーを増やさないと実現しません。
「大会に出る」ためには大会が開催されている必要があります。
最初は放っておいても大会は開かれないので、自分で大会を主催して場を形成していく必要があります。
カードゲーマーの性質が普及に向かない
カードゲーマーは同じゲームをやりこむ性質が強いです(自分もそうですが)。
少なくともボードゲーマーがボードゲームを買う頻度で、別種のカードゲームを買うカードゲーマーはいません。
一度ファンになれば研究・分析をするほどやりこみますが、気軽にファンにはならない性質かと思います。
「広く普及する」という意味だと難しい性質ですね。
「デジタルでいいや」となる
ボードゲームもそうですが、最大の難所は「対戦相手を用意する」ことです。
気が向いたときに手軽に対戦できるハースストーンやシャドウバース、遊戯王デュエルリンクスが同じ土俵にいるため厳しい戦いになります。
どう売ればいいのか?
文句ばっかりいってるので、対応案を考えます。
それぞれリスクを取る必要があったり、パワーをかける必要があります。
大量に生産する
普及率をあげ、ユーザー数を増やすためには商品が大量に必要です。
普及に耐えるだけの生産数を用意しましょう。
もちろん、原価がかかるため生産するほど制作者の金銭的リスクは高まります。
普及活動にパワーをかける
定期的に公式大会を開いて「遊べる場」を作り、プレイヤー同士で切磋琢磨する場を作るといいでしょう。
攻略wikiなどでプレイヤー同士が意見交換できる場を提供するのもいいと思います。
カードショップで楽しそうにプレイするだけでも効果はあるかもしれません。
共犯者を作る
いっそ、プレイヤーを制作サイドとして抱き込みましょう。
制作サイドにしてしまえば、普及活動もプレイヤーが率先してやってくれるようになります。
1.クラウドファンディングをかける
お金を出してもらう形で制作サイドに巻き込む方法です。
お金を出させたらクラウドファンディングを成功させるために宣伝してくれるかもしれませんし、プロジェクト成功後も「わたしが関わってる」と自慢したいので普及してくれます。
「関わってること」が証明できるように出資者名の明記などをリターンにするといいと思います。
2.イラストを描いてもらう
カードイラストなどを書いてもらって制作サイドに巻き込む方法です。
絵柄の統一感はなくなりますが、広く声をかけていろいろな絵描きさんに描いてもらうことで制作サイドを増やしましょう。
ちゃんとイラスト代を謝礼として支払うのは忘れずに(重要)。
3.テストプレイにつきあってもらう
制作過程でテストプレイにつきあってもらいましょう。
「自分が出したアイデアが採用された!」となれば普及してくれる確率が高まります。
アナログゲームのテストプレイ会に参加するより、カードゲームショップで遊んでくれそうな人に声をかけるほうが普及しやすいかもしれません(未検証)
デジタルにない良さを強める
「割り込みで処理を行う」効果はデジタルゲームだとやりづらい表現です。
なにかやるたびに「カウンターしますか?Yes/No」を確認するとプレイテンポが悪くなるためです。
なのでハースストーンでは「相手の動きをトリガーにして自動発動する効果」はありますが「相手の動きをトリガーにして発動するか選ぶ効果」はありません。
デジタルの遊戯王には「相手の動きをトリガーにして発動するか選ぶ効果」がありますが、これはもともと遊戯王がアナログである名残なのでカウントしません。
そういう意味で「相手のターンにわり込みでやれることを増やす」はデジタルでは難しいため、デジタルゲームと差別化できる領域になります。
飛び道具をつかう
インフルエンサーを使う方法です。
有名ブロガーやYouTuberなどに宣伝してもらい、一気に普及させる方法です。
正面から「普及してください」といっても相手にメリットがなく、無理なので知り合いにいなければ関係構築から必要になります。
一般的にオススメできる方法ではありませんが、偶然使える環境にあるなら使うと超強力かと思います。
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まとめ
自作TCGはカード効果を考えるのが非常に楽しいです。
全カードゲーマーが楽しめる妄想遊びだと思います。
ただ、販売・普及のことを考えるとハードルが一気に高くなります。
「オリジナルのTCGを作って普及させたい!」という方は、戦略を考えてチャレンジしてもらえればと思います。