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ぬくみ温泉繁盛記
拙作 ぬくみ温泉繁盛記 のデザイナーズノートです。

自分が読むなら製作の経緯より、ゲームシステムの意図について読みたいので、システム面に振り切って書きます。

拡大再生産ゲームとかリソースマネジメントゲームが作りたい方の参考になれば幸いです。

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ぬくみ温泉繁盛記のベースになったゲーム

オーディンの祝祭

「オーディンの祝祭」がベースになっています。

12面ダイスを振るところしか似てないと言われますが、最初に考えていたのは カジュアルにできるオーディンの祝祭を作りたい でした。

ラウンドの各フェイズの流れについても、比べてみると面影が残っています。

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カジュアルにできる を実現するため、プレイ時間が短くなる仕掛けをイロイロといれました。

慣れたプレイヤー同士なら30分で終わるゲームになっています。

また カジュアルにできる はゲームの難易度を下げる意図も含んでいるので、システムの複雑さを下げるように心がけました。

 

遊ぶこと自体はカンタンですが、勝つための動きはどうすればいいか悩ましいゲームにできたと自負しています。

ぬくみ温泉繁盛記でやりたかったこと

ぬくみ温泉繁盛記で主にやりたかったことを3つ書き出しました。

気持ちよく拡大再生産したかった

拡大再生産は楽しいです。

「できる」ことがドンドン増えるのは楽しいですよね。

気持ちよく拡大再生産できるように作りました。

自動でリソースが増えるようにした

ワーカーを使わずにリソースを増やせる「ボーナス」をどれだけ使えるかが大事なゲームになっています。

不労所得を増やすほど勝利は近づきます。

条件を満たせば自動でリソースが増えるボーナスのシステムを「オーディンの祝祭」から流用しています。

進むに連れて派手なアクションが使えるようにした

「アグリコラ」や「ナショナルエコノミー」のように、ラウンドが進むにつれて強力なアクションが使えるようにしました。

場が自動で強くなっていくので、序盤の拡大再生産に失敗してもうまく立ち回れば追いつくことができます。

ぬくみ温泉繁盛記_デザイナーズノート_0

最終ラウンドにはあまった資源を点数化する救済措置も実装しました。カジュアルー

攻撃要素を減らした

気持ちよく拡大再生産したいので、他プレイヤーを直接攻撃する要素はすべて取り除きました。

他プレイヤーからの妨害はワーカープレイスメント特有の「先に置かれたアクションは使用できない」だけです。

「やりたいことがあって、結果的にバッティングした」レベルの攻撃しかないデザインにしました。

ギスギスしない カジュアルにできる ゲームです。

リプレイ性を高めたかった

貧乏性なので、同じゲームで何回も遊べると嬉しいです。

戦略に種類がないゲームや、同じ盤面のゲームは飽きてしまうのでイロイロ楽しめるようにしました。

戦略を複数パターン用意した

ネタバレになるので詳しく書きませんが、イロイロ考えられるようにデザインしました。

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たとえば「従業員への給与支払い」はなくてもゲームとして成り立ちますが、戦略に幅を持たせるため導入しています。

アクションを消費して支払い用のお金や食料を確保するか、鶏に卵を産んでもらうか、施設を建ててボーナスでまかなうか、複数の選択肢を用意しました。

ボーナスでまかなう場合も、最終的に得点となるお金を狙うか、支払効率がいい食料を狙うか、食料を狙うなら野菜か魚か卵か、選択肢は多いです。

特にボーナスは、施設を建てると毎ラウンド生み出されるため、序盤の選択が最後まで響きます。

 

ここでも カジュアルにできる は意識したので、給与はカンタンに支払える量にしています。

アクションを変えられるようにした

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アクションをカードで表現しているので、せっかくだから両面仕様にしました。

どちらの面を使っても、ゲームバランスは壊れないように調整してあります。

すべてA面、すべてB面でもいいですし、好きな面を組み合わせて使ってもいいです。

運の要素が大きい盤面も作れますし、運の要素が少ない盤面も作れます。

 

あとプレイ人数によっても使えるアクションが変わるので、特定プレイ人数でしか使えない戦略ルートもあります。

カードをすべてユニークにした

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ぬくみ温泉繁盛記のカードはすべてユニーク(重複なし)になっています。

毎回配られるカードがランダムなので、違うゲームを楽しむことができます。

すべてのカードは単体で使えるようにしていますし、一部カードは組み合わせると大暴れできるのでカードはかなり楽しめると思います。

パズル要素を入れたかった

オーディンの祝祭の ワーカープレイスメント x パズル は楽しいですが、人を選びます。

また、オーディンの祝祭はパズルが複雑なためゲーム時間を長引かせる要因にもなっています。

パズル要素自体は好きなので入れましたが、万人受けするように難易度を下げました。

ここでも カジュアルにできる を意識しています。

一部の施設タイル

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一部施設の建て方を指定するパズル要素です。

ボーナスを獲得する条件としてパズル要素をいれました。

一部の施設は指定された条件通りの旅館をパズルでつくると、ボーナスが出るようになっています。

全体方針カード

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旅館の形を指定するパズル要素です。

条件を満たすと最終得点が増えます。

全5枚あるうち、2枚を最初に決めるようになっており、組み合わせ次第で違う形を要求されるようにしました。

パズル要素以外に、リプレイ性の確保にも一役買ってくれています。

芸術家

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旅館に含まれている施設の種類を指定するパズル要素です。

ゲーム中のどのタイミングで引くか毎回違うので、毎回違う判断を迫ってきます。

ここもリプレイ性を高めてくれていますね。

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コンポーネントに関する意図

コンポーネント(内容物)絡みの「こういう意図だよ!」を解説していきます。

話し出すとキリがないので、3つに絞りました。

資材が6種類の理由

ぬくみ温泉繁盛記_デザイナーズノート_1
ゲームとしては2種類あれば成り立ちます。

建築系資材1種類、食料系資材1種類の合計2種類ですね。

ただ、資材を2種類にすると、アクションやゲームシステムを複雑にしないと戦略に幅が出せなくなります。

なので建築系資材(木材&石材)を2種類、食料系資材(野菜&魚)を2種類の合計4種類をまず確保しました。

4種類あれば4人プレイをやる場合でも、各自がそれぞれ担当できるので「1ラウンド目から確定で4人目が出遅れる」ような事態になりません。

 

4種類でもゲームは成り立つのですが、あまり見通しが良すぎるゲームは長考して読み切ろうとする人が出てきます。

読み切るゲームはカジュアルじゃない ので、計算を狂わせる要素として家畜系資材(卵&鶏)を入れました。

家畜系資材は他資材と区別するため以下要素を組み込んでいます。

  • 他資源と違う法則で増える
  • 集めると得点化できる

他資源と違う法則で増える要素を備えている分、読み切るにはノイズとなります。

また、得点化要素を含めたことで戦略に幅を持たせることにも成功しました。

 

家畜系資材を入れなければ、ボーナスフェイズを簡略化できるので、導入は調整の終盤まで悩みましたが、結果的にいれたほうが良いと判断して導入しました。

ここいら辺のさじ加減は難しいですね。

ワーカーが3人固定の理由

ぬくみ温泉繁盛記_デザイナーズノート_2
ゲーム時間を短くするためです。

最初はワーカー2人でした。

ただ、初めてやる人の受けがあまりにも悪かったので3人にしました。慣れたら2人でも回せたんですけどね。

 

テストプレイ会で「ワーカーを増やすアクションがほしい」の声は多く上がりました。

検討はしたんですが、ワーカーを増やす仕組みを入れるとプレイ時間が長くなるので、こだわりを持って入れませんでした。

カジュアルにできる ためには、プレイ時間は短いほうがいいですからね。

 

ワーカーを増やす代わりに「ボーナス」や「仕入れ」でワーカーを使わずにリソースを増やす手段を組み込むことで対応しています。

「ワーカーを使わないアクション」を用意したイメージです。

化粧箱の大きさの理由

コンポーネント(内容物)じゃないし、システムじゃないじゃん と言われそうですがこだわったので紹介しておきます。

前作でBOOTHの自家通販をわりとやりました。

そこで、宅急便コンパクトの大きさから逆算して、化粧箱のサイズは決めました。

小箱でないゲームなら 外寸233x155x39mm のバトルラインサイズはおすすめです。

宅急便コンパクトがジャストサイズなので、BOOTHなどの自家通販がはかどります。

あまり大きくないので、委託販売のためにダンボールでまとめて配送するのも楽でした。

説明書やボードをいれるときもA5サイズ(148x210)で用意すればいいですし、箱のサイズとして非常にオススメなので、ご一考ください。

ゲームシステムに関する意図

内容物と関わりの薄いゲームシステムに関するこだわりについて述べます。

こっちも語りだすとキリがないので3つに絞りました。

個人方針カードを入れた理由

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個人方針カードはなくてもゲームが成り立ちます。

個人方針カード導入の理由は 初プレイの人が迷わないようにするため です。

戦略を複数用意することの弊害として 初プレイだと何をすればいいかわからない はつきまとう問題なんですよね。

対策として、個人ごとに戦略の方針を5種類ランダムに引いてもらうことにしました。

要求されている方針に必要な資材は散らしてあるので、ここでも「1ラウンド目から確定で4人目が出遅れる」対策を取っています。

 

最初から戦略が指定されているのは「初心者が戦略に迷わない」反面、「熟練者の自由度を阻害する」問題も内包しています。

対策として、個人方針カードの点数は控えめに設定しました。

熟練者がうまく立ち回ると、個人方針カードの点数は捨てても別のアプローチで勝てるようになっています。

仕入れがある理由

ぬくみ温泉繁盛記はお金がそのまま点数になります。

お金は点数効率がいい反面、使用できる場面が限られているため、序盤にお金を集める動きをすると持て余らせがちでした。

対策としてお金を資源に変えるアクションを用意していましたが、3ワーカーしかいないワーカーを使うため、うまく回りませんでした。

 

そこでワーカーを使わずにお金を資源に変える仕組みである「仕入れ」を入れてはどうかと友人から提案されました。

フェイズ処理が複雑になることと、出番がそこまで多くないことから初めはどうかと思いましたが、テストしてみたら予想以上にうまく回ったため採用となりました。

使用しないで終わる回もありますが、暴れるときは暴れてくれるシステムなので、アクセントとしていい仕事をしていると思います。

点数を最後までわからなくした理由

結果が見えてるゲームは盛り上がらないですよね。

そこで ぬくみ温泉繁盛記 では各プレイヤーの合計点数をあえてわかりづらくなるようにしています。

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得点の獲得経路を複数用意し、個人方針カードを伏せることで完全には読みきれないようにしました。

「なんとなく勝ってる気がする」「たぶん負けてる気がする」とはなりますが、点数計算してみると「僅差で逆転した」など起きるデザインになっています。

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まとめ

ぬくみ温泉繁盛記 のデザイナーズノートでした。

カジュアルにできるオーディンの祝祭を作りたい と思って作り始めたゲームは「オーディンの祝祭」とは似ても似つかないゲームになりましたが、ワーカープレイスメントゲームとして面白いゲームになったと思います。

カジュアルにできる をコンセプトにシステムを練ったので、重量級ゲームに耐性がない方、脱ボードゲーム初心者を目指している方にも楽しめるゲームになっています。

また、ゲーマーが多人数戦をやると 他プレイヤーの持っている資源からやりたいことが見える ので 意外と殴り合うゲーム にもなっています。

結果的にライト層〜ゲーマー層まで楽しめるゲームになりました。

 

ゲームマーケット2020春にて頒布予定でしたが、ゲムマ自体が中止になったため直接配ることは難しくなりました。

興味を持ってくれた方は以下リンクからお買い上げいただけますのでご検討ください。

BOOTH

ボドゲーマ

ゲムマECサイト

 

評判がよければゲームマーケット2020秋でも頒布するかもしれないので、その際はよろしくお願いします。